年上の彼氏は時折とても幼く見えた。

東京の私立大学に通う４年生の【私】は、同じく都内の大学で研究員をしている【正大(まさはる)】とアパートで２人暮らしている。 就職活動中である私は夏になっても内々定が出ず、将来に不安を感じると同時に自身の人生に対して諦めを持つようになっていた。 そんな折、長年確執のあった父と再会する。 「芸術家」である奔放な父はどんな大学生であったのか、就職してから結婚し、子供ができ、今日までどう生きてきたのか。 父が学生時代に手がけた演劇のリバイバルに携わることを機に、私は初めて父を親として意識するようになっていく。