朝の4時から9時くらいまでの5時間で充分休まる身体を外へと引きずり出して犀麦は出勤をする。
私はたまに大学へ行く。
彼に「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」が言えるように彼より遅く部屋を出て彼より早く部屋へ帰る。

家事ができないことはお互い様で、だからお風呂掃除とかもロクにできないまま、キッチンにはまだ洗っていないお皿やフライパンが溜まり溜まっているし、洗濯ものも溜まってゆくばかりだ。

それらを洗うよりは新しいものを買った方が早いからとまた物を増やして、私たちの生活は一向に改善しない。

こんな生活じゃ子どもなんて絶対に増やせないねと犀麦が笑った。当然だよと私も頷いた。

まず私、子ども好きじゃないし。
そう言ってみたら、意外だと言われた。
ぼくは子ども好きだけどねと言われてしまい、なんだか私だけが冷たい人みたいだなと少し胸が痛んだ。
彼が大学で子ども関係の勉強をしていた時点で、何となくその価値観の不一致は承知していたのだけれど、いざ言葉にされてみたら否定されたような気持ちになった。