月が綺麗ですね

「どうせ俺と飯塚がいなくて命の洗濯でもしていたのだろう?」

「いや...その...」


この人はどうして私の行動を良く分かっているのだろう?
図星を悟られたくなくて、副社長から視線を外す。


「一緒に飲んでいたのは男か?」

「いっ、いいえっ!」


慌てる私を見下ろす彼の眼鏡の奥の瞳が鋭く光る。


「男だと顔に書いてある」

「...はぁ」


私の顔からそんなこと分かっちゃうのかな?不審がっていると、


「せっかく飲んでいたのに悪かったな。その続きはここですればいい」

「いっ、いえっ!!」


ガタンっ!と立ち上がった。


「こんな遅い時間にまた飲んだら、帰りたく無くなってしまいますからっ」

「なら帰らなければいい」


へっ!?


副社長の瞳はどこか笑っている。


「いえっ、そんなわけにはいきませんっ」

「適当に注文するから文句は言うなよ」


私を無視して、彼は受話器を取った。