月が綺麗ですね

「座ったらどうだ?」


座る?ソファーでいいのかな?


「...はい」


えっと下座はどっちだったっけ?

ああ、こっちだ。

遠慮がちに浅くソファーに座った。


彼は緩めたネクタイをシュルシュルと外しながら、ルームサービスのメニューを見ている。


「レストランのラストオーダーは23時だそうだ」


無意識に時計に目をやると、あと5分もない。


「ゆっくりしたいからルームサービスを頼むが、何がいい?」

「いえ、あの私は結構です」

「飲んでいたんだろう?」

「えっと、その...はい」

「車に乗った時にわずかに酒の臭いがした。木下さんが飲むわけはないからな」


外したネクタイをソファーの背もたれにかけると、副社長はカッターシャツの第一ボタンに指をかけ頭を揺らしながらめんどくさそうにくつろがせる。