月が綺麗ですね

そしてメールと電話の着信が数件あることに気づく。

メールを開くと総務からだった。


『○○株式会社の大口様急逝。お通夜は△△寺で7時~.....』


「ひゃっ!!」

「どうしたんだ?」

「総務からメールが来てた。ヤバい...」


受信時刻を確認すると1時間前だ。



「ごめんね。せっかく誘ってくれたのに」

「仕方ないだろ、行けよ」


弘くんは肩をすくめる。


「この埋め合わせは必ずするからねっ」ゴソゴソと帰り支度をする。


立ち上がった私に弘くんが声を掛けて来た。


「おい待てよっ」

「何?」

「お前、カネないんだろ?」


お財布には数千円しかない。

「ほら」

弘くんは諭吉を数枚渡してくれた。

「ありがとっ。さすが人事、気が利くぅ」

「バカっ」


お香典のお金を貸してくれたのだった。この時間では当然だけれど仮払いは出来ない。立て替えてあとで経理に請求することになる。