月が綺麗ですね

「仕事マジ大変なんだから。お姉さま達は恐いし」

「分かる気がするよ」


私は話しても大丈夫な範囲で弘くんに愚痴をぶちまける。


「...大奥のことは人事に入ったときに先輩から聞いてた。もし同期で大奥へ呼ばれるなら池田か、高橋だと思ってたよ」

「そうだよねっ。彼女たちのほうがよっぽど可愛いよねっ」


ほんのり赤くなった顔で私はウンウンと頷く。


「同期の中ではあいつらが、ワンツーって感じだよな。でその次ぎあたりに風花かな?」

「えー、私を三番目にしてくれるの?ありがと~、弘くんっ!」


えへへ、と笑って見せる。



「何だよ、もう酔ってるのかよ。早くないか?」

「秘書室に移ってから、睡眠時間が減ったせいだと思う」

「そんなに忙しいのか?」

「うん。仕事に慣れればもっと要領よくこなせると思うんだ。そうしたら早く帰れるようになるかも知れないけど、今はまだね...」