人の背中を見ながら好き勝手に想像を巡らせて、切なくなる私はきっと今、自分が幸せを感じていないからだ。

彼氏がいて、人生我が世の春だったらそんなことは思いもしないはずだから。
たとえ辛いことがあっても、電話やLINEで話せる。金曜日になれば彼に逢える。それを励みにがんばれるはずだもの。

些細なことのようで、案外生きる上での根幹に影響を及ぼしているよな気がしてならない。


そう思うと、好きな人がいるってことは、どれだけ幸せか、どれだけ人生に色を与えてくれているかをしみじみと感じてしまう。


「ふぅ」

無意識にため息が漏れる。




秘書室に異動になってから毎日目が回るくらい忙しい。覚えることもたくさんあるし、失敗して副社長や飯塚さんに雷を落とされることもある。

そんな時は自分が情けなくなるし、営業でのキャリアを思い出すこともある。けれど、そんなものは今なんの役にも立たない。返って虚しくなるだけなのに、それでも過去に涙してしまうことだって...。


毎日独り暮らしのワンルームにクタクタになって帰って、お風呂に入って寝る。ただそれだけ。テレビや雑誌を読む時間さえない。

そして、寝たと思ったら5分で朝になっている...気がする。


日々を生きるのが精いっぱいだった。


こんな私を誰かに受け止めて欲しいと思う自分は弱い人間なのかな?

そっと肩を抱いて『無理すんなよ』って優しい言葉を掛けてくれる人がそばにいたらって思っちゃうのはダメなことなのかな?

オニオンスープのパセリがカップの底に沈んでいる。私の気持ちも今はどん底だ。

...止めよう、考えても虚しくなるだけなんだから。