こ、怖い...。
今にも取っ組み合いの喧嘩を始めそうな二人を見かねて、三浦さんが止めに入った。


「二人とも、おやめなさいっ。副社長は今のところフリー。誰を彼女にするかは副社長の心次第。まだ誰と決まったわけではないのだから、二人とも頑張ればいいじゃないの」

「専務の息子と婚約が決まった人は余裕ね」


飯塚さんの嫌味を三浦さんはサラッと聞き流すと、話の矛先を変えた。


「進藤さん、早く着替えて来なさい」

「は、はいっ」


やっと、やっと解放してくれた。


私は三人に一礼すると、泣きながらその場を後にしたのだった。

涙の理由は二つ。

ひとつ目は、これからこのお姉さま達を相手にしなければならないこと。

ふたつ目は、副社長に絶対怒られちゃうこと。


あーもっ、秘書なんて私には絶対向いてないっ!!

修羅なんて経験したくないっ!!

もーイヤっ、こんな生活っ!!