月が綺麗ですね

三浦さんに助けを求めるように視線を送っても、私にウインクをするだけで素知らぬ顔をつらぬき、日常茶飯事とばかりに彼女は洗い物に余念がない。


この修羅場に慣れなくちゃいけないの?
でも私一番年下だから、ある意味不利じゃない?

あっ!そんな事より、早く着替えないとっ。私、副社長に呼ばれてる...。


「あの、私、着替えてきてもいいですか?」


「それからっ!!」


うへっ。まだ何かあるんですか?
早くしないと副社長に怒られちゃうのに...。


「金曜の夜は副社長とどこに行ったのっ?」



一瞬だけれど、ギクリとしてしまった。
同行のこと知ってたんだ。三浦さんが話したのかな?でも、やましいことはひとつもない。同行は副社長の命令だったのだし。


「ふーん、本来同行は飯塚さんのはずなのに、進藤ちゃんを連れて行ったんだ」


もうっ!北林さん余計なこと言わないで下さいよっ。
目で訴えても、彼女は笑うだけだ。

私の背中には冷たい汗がさっきから流れっぱなし。