月が綺麗ですね

三浦さん、それに北林さんがいた。


「ちょっとそれどうしたの?」

かなりイライラした様子で飯塚さんが問いかけてくる。そして私が抱えているスーツに鋭い視線が向けられた。


「...これは...もらいました」

「もらったぁ!?」

「は、はい。私、自社ブランドのスーツが買えなくて。そうしたらもうすぐ新旧入れ替えで、旧モデルは廃棄するからって」


「あら~、良かったわね。進藤さんツイてるわっ」


笑顔で私の肩をポンと叩くのは、当然三浦さんしかいない。


「あんた、スーツ買うお金も無いの?」


クスクスと笑うのは北林さんだ。社長の愛人。

だからそれはお金をちょっと使い過ぎてって.....もうイヤだ。
説明なんてしなくていいよね。私はギュッと唇を噛みしめた。