月が綺麗ですね

背中から伝わる彼の温もりは、優しく私を包んだ。


桜の花びらは重なる私たちに降り注ぐ。


雪の消えた跡を惜しむように、同じ場所に薄い桃色の花びらがヒラヒラと後から後から降り注ぐ。



ギュっと抱きしめる腕に力を込めると、


「月が綺麗ですね」


もう一度耳元でささやかれた。



激しく高ぶる心はとどまるところを知らない。



「巡り逢いつつ、影を並べん」
(あなたと巡り逢い、肩を並べられて幸せです)


私は静かにつぶやいた。


すると背中から回り込むように、私の唇に彼は自分のそれを重ねた。