月が綺麗ですね

そうだったの。でも...。

懺悔と言うわりには、あまり反省していない気もするけれど。

私はふっと笑った。話の内容が色々濃すぎて完全に怒るタイミングを逸していた。

でも、こうしてすべてを話してくれたんだから、いいか。

深く追求するのはやめよう。言いにくい過去だって話してくれた。もしいがちゃんの辛い過去がそうさせたのなら、それは責めるべきじゃない。


それに私だって悪い。

何度も、『香奈は俺の妹だ』って徹さんが言っていたのに、私はそれを信じなかった。

私にも罪はある。


でも...まんまといがちゃんにはめられちゃった。


おまけにあの時...。私を抱こうとしたホテルで徹さんが『ありがとう...カナ』なんて言うから偶然にせよ、いがちゃんの悪だくみに輪をかけちゃったんだ。

社員データだって知らなければここまでこじれなかったかも。だからって弘くんを責めるつもりはない。それは私を心配してくれてのことだもの。

あの時、運命の女神は私たちに味方してくれていなかったみたい。
きっと私たちが羨ましすぎて女神も焼きもちを焼いたんだ。

...そう言うことにしておこう。そうしたら、誰も悪くない。


「私、風花を祝福する気はないの」

「へっ!?」

「まだライバルだと思ってる」

「ライバル?」

「そっ、だって風花まだ徹に抱かれてないんでしょ?だからライバルよ。徹と結ばれたら風花を認めるわ」


そんな無茶苦茶な理屈...。


しかし兄妹とは言え、そんな話までするんだ。

ウチの姉弟とはえらい違いかも。

だって私、浩史に彼女がいることさえ知らなかった。


仲が良過ぎてチョッピリ焼けちゃうな。


「徹は苦しんでた...。どうして風花は俺を信じてくれないのか?って。ねぇ、おかしいでしょ?あの俺様でクールな徹が、食事までしなくなったんだから。風花のことで悩んで傷ついて。徹にあれだけ愛されて、風花は幸せだわ...悔しいくらい」


私は黙っていがちゃんの言葉を聞いていた。

そして穏やかな春の風は私たちを優しく包んでいた。