月が綺麗ですね

好きで好きでどうしようも無かった。

だから嫌いになれなかった。

はたから見たらバカみたいだよね。だけど切れない何かがあるんだよ。それって理屈じゃないんだ。うまく説明できないけれど。

北林さんと同じなんだよ。



「いがちゃんも、心の底から好きな人に巡り逢ったら分かると思う」

「まるで私がそんな人に出会ってないような言い方ね。失礼だわ」

「ごめん...だけど、本当は出会ってないんじゃないの?」

「...徹がいるわ」

「でも兄妹なんでしょ?」


どうして私、こんなに落ち着いて話が出来るんだろう?
どうしていがちゃんに怒りをぶつけないんだろう?

それは穏やかな春のせいかも知れない。


「...壊れちゃえばいいのよ。幸せな連中はみんな不幸になればいい」

「いが...ちゃん?」

「なのにどうして?どうしてあんた達は壊れなかったのっ!?」


どうしていがちゃんはそう思うのかな?
私はこんなにボロボロなのに。


「壊れたよ。少なくとも私は。徹さんはいがちゃんと結婚すると思た。だから私たちの愛は終わったって何度も自分に言い聞かせてたよ」

「でも、徹が風花を離さなかった...」

「私だって彼のこと諦めきれなくて、悪いことだって分かってるけど、愛人になったとしても...」