月が綺麗ですね

どうしていがちゃんがここにいるの?

まさか...徹さんとの結婚報告だったりする?


ドクンドクンと心臓がいやな音をたてている。



お茶を持って縁側へ戻ると、彼女は子供のように足をブラブラさせている。


「...どうぞ」

「あ、ありがとう。やっぱりこの雰囲気で飲むなら日本茶に限るわね。ジャパニーズソウルって感じ?」

「そうかな」


いがちゃんは湯呑に口をつけると一気にそれを飲み干した。


「あー、美味しい。もう一杯もらえる?」

「うん、ちょっと待ってて」


急須にお湯を入れて戻ってくると、彼女は庭の楡の木を見上げていた。


「凄い大木ね。樹齢何年くらいなの?」

「さぁ?私が小さい時からもう大きかったから」

「へぇー、風花の子供の頃の想い出がここにはあるのね」


...いがちゃん?


「子供の頃、風花は幸せだった?」

「そうだね。家族4人でこの縁側に座って話をしたな。友達のこととか、進学のこととか」

「今は?今は幸せ?」


...今?


「...どうかな。でもここに座っていると、嫌なこととか、辛いことは忘れるみたい」

「...そう」