「くっ」唸り声をあげるとしばらく沈黙して、やがて徹さんは口を開いた。


「菱倉を殺す。それくらい今の俺は嫉妬の炎を燃やしている。風花を愛している。気が狂いそうなくらい」


よくもそんなこと。



「お前がいない日常など、もう俺には考えられない」



結局最後は彼女の元へ帰るくせに。



「俺がお前をどれだけ愛しているか、今ここで分からせてやる」



ズルい人。



私を虜にしておいて、他の女も同時に愛せるなんて。



再び唇が重なる。

私はそれを力なくそれを受け止めた。


けれど、それは狂おしいほどの口づけだった。

やっぱり私は彼の唇に逆らえない。体中の血液が沸騰するような感覚を呼び起こされて、私は泣きながら彼の背中に爪を立てていた。



私はこの人から離れられない。どんなに裏切られても嫌いになれない。






...それは、苦しくて切ない...消えない記憶。