「わぁ、いい景色じゃないっ!へー、東京タワーが目の前。近くで見ると案外大きいのね」


窓際に駆け寄ると、ガラスに手をついた。


「う、うん」


後で指紋を消しておかなくちゃ。


「いいなぁ。私もここで仕事したいわ。デスク持ってこようかしら?」

「はは...」


苦笑いしか出来ない。


「で、副社長はいつもここに座って仕事してるわけね」


両手でデスクの表面をなでながら、今度は彼の椅子に座る。


あっ!

...私も座ったことないのに。



「椅子の座り心地全然違うわねっ」


ユラユラと椅子を左右に揺する。


...楽しそうだね。