私の心は急速に冷えて、そして砕け散った。それを自覚するのに時間はかからなかった。


元カノならまだしも、妹だなんて...。

どうしてそんな嘘つくの?


心の糸はぐちゃぐちゃにからまって、もつれてしまった。



「それが、私に対する誠意なんですね?」

「お前の言っている意味が理解できないんだが?」

「さよ...なら」

「おいっ、風花っ!?」


「行こう、弘くんっ!」



私は雨の中駆け出していた。


彼は嘘をついている。

彼に妹なんていない。

それは飯塚さんからも、三浦さんからも聞いている。

徹さんはひとりっ子だってことを。


「待てよっ!」

徹さんの声が背中から聞こえる。


「失礼します」

弘くんの声も。