月が綺麗ですね

「徹さん酷いっ!なんで先に言ってくれなかったんですか!?」

落ち着きを取りもどした私は声を荒らげながら、彼の肩を何度も叩く。


「これくらい泳げると思ったんだ」

「あなたと一緒にしないで下さいっ。怖かったんだからっ、死ぬかと思ったんだから」


まるで子供がダダをこねるように、半泣きで訴える。


「すまん」


彼がギュッと私の体を抱きしめた。

水中で濡れた肌と肌が触れあい、キュンと切なく心を絞めつけた。


熱い。


火照った体は水の中なのに、全然冷えない。むしろ私の周りに熱を放っているよう。



「と、徹さん。誰か来たら大変ですから、上がりましょう」

「嫌だ」

「そ、そんなこと言わないで...」



彼はいたずらっぽく笑う。

「俺が泳ぐ時はいつも貸し切りだ。前に来た時に気づかなかったのか?」


じゃあ、前回も?それで誰もいなかったんだ。

意地悪っ!前もってそれも教えておいてよっ。