月が綺麗ですね

徹さんは私と並走するように顔を出したまま平泳ぎをしている。

やっぱり上手だな。

しかし感心ばかりもしていられない。こっちはマジ泳ぎをするのは高校の授業以来なのだから。

大学、社会人に至っては水遊びみたいなことしかしていなかったし。

ビーチボールで遊んだり、水をかけあってふざけたり。ってかプールで泳ぐってそんなもんでしょ?


...しかし見られていると緊張しちゃう。

最初のうちは下らないことを考える余裕がまだあったのだけれど...。


プールの半分を過ぎた頃からだんだん苦しくなってきた。


でもあと少し。20メートルくらい泳ぎ切りたい。

無駄に変なプライドがムクムクと湧いて出てくるけれど、さっきから全然進んでいる気がしなくなってきた。

これはマズイ。やっぱり無理かも。


ぼんやりとかすむプールのへりをなんとか視界に捕らえる。


あとちょっと。そう思いながら手を伸ばすけれど...。