月が綺麗ですね

「お前の泳ぎを見てみたい」

「犬かきしか出来ないしフォームもメチャクチャなので、私のことは放っておいて下さい。その辺に座ってますから」

「では、そのメチャクチャな泳ぎを見せてくれ」

「無理ですって」



嫌がってるのに強引に腕を引っ張られて、渋々水の中へと入る。


浮き輪を持ってくればよかった。そうすれば水面を漂う花びらのように浮いているだけで済んだのに。ってこれはちょっと綺麗に言い過ぎた。

水面を漂う棒切れくらいにはなれたのに。


「あの、本当に私そんなに泳げないんです」

徹さんの様子をうかがうようにチラッと見てみる。


「心配するな俺が横で泳いでやるから、溺れそうになったら助けてやる」


これはどうあがいても無駄らしい。


ここのプールは20メートル。小学校のものより若干短い。

日頃から運動不足だけど、これくらいなら泳げるかな?


私は意を決してスタートを切った。