月が綺麗ですね

──ここへ来るのは二回目。

都内の老舗ホテル。


爆発しそうな心臓。もしかしたらこのまま死んじゃうんじゃないかと思うほど、胸は激しく高鳴っている。


今、私は体の露出が少ないワンピースタイプの水着を身にまとっている。


何故こんな格好をしているかって...。


徹さんがひと泳ぎしたいと言って、私にも水泳を強要したためだ。

ためらいがちに屋内プールへと入ると、既に彼は泳いでいた。


「随分時間がかかったな」

私の姿を見つけて、派手な水しぶきをあげてプールから上がって来る。


「すみません」

「似合っているぞ」

「ありがとうございます」

「泳げるか?」

「少しだけですが」


さっきから私たちの会話はどこがぎこちない。私の緊張が彼にも伝わっているかのようだ。