月が綺麗ですね

無言で固まる私に彼は言葉を続けた。


「そろそろ俺に、すべてを許してくれてもいいんじゃないかと思うんだが」


突然のことに、正直どう答えていいかわからない。

ここで「はい」っていうのも何だか変な気がするし。


「........」

「いや...なのか?」


彼の大きな手が私の肩にかかる。


いやじゃない。

...だけど、だけど...。


胸がざわつく。

いきなりそんなこと言われたって心の準備が出来てない。

呼吸は乱れ肩を上下させて胸の前でギュっと手を組む。


「女性にとってそれが重大な決断であることは分かっているつもりだ。だから、無理にとは言わない。だけど...もう俺は...」


熱を帯びた声は、今の私にはむしろ苦しい。