月が綺麗ですね

「...徹さんのほうがいい男です」

「当然だ」


あはっ。私は心の中で笑う。

変なところで負けず嫌いで子供っぽいんだから。



「ところで進藤、今度の金曜と土曜は空いているか?」

徹さんがポケットに両手を入れて、壁にもたれかかると、少しだけゴンドラが揺れた。


「特に予定はないです」

「では、その時間を俺にくれ」

「何かありましたか?」

「何かと言うか...」


どうもいつもの彼らしくない。

言いよどんでいる。


「俺がいつも通っているスポーツクラブがあるホテルに二人で泊まろう」

「えっ!?」



ドクドクと心臓が唸りを上げ始める。