月が綺麗ですね

私たちはエレベーターへ乗り込む。他に社員は無く密室に二人きりだった。

扉が閉まると、


「で、誰がイケメンなんだ?」

「聞いてたんですか?」

「聞こえてたんだ」


バツが悪そうに眼鏡を触る。そこには子供っぽい少年の顔があった。


「コールセンターの内海さんです」

「内海...ああ、あいつか。お前、あの男タイプなのか?」

「...イケメンではありますよね」


「ふ~ん」すねたような声を出す。


「焼いてるんですか?」

意地悪っぽく目を細めて徹さんの様子をうかがってみる。


「ああ、焼いてる」


な、なんて素直な。


「俺以外の男を褒めてほしくないねっ」

「そんな...」

「内海が俺よりいい男だったら仕方ないが、そうでないのなら許せない」