月が綺麗ですね

「二人はどこの部署なの？」

「えっ、あ、私は営業一課です」

「私は、コールセンターです」

「そっか。営業一課だと山田課長かぁ。山田さんは一見恐いけど、実は部下思いの良い人なの。彼の下で働くと仕事が出来るようになるわよ」

「そうなんですか？私毎日ビクビクしてるんです。怒鳴られちゃいそうで」

「山田さんはやみくもに怒鳴ってるわけじゃないわ。本当に大変な間違いをした時だけよ。”ここで怒っておかないと、後々コイツは苦労する”みたいな場合。私、秘書になる前に営業三課にいたから、山田さんとも親しかったの」

「鬼の山田さんと親しかったんですか！？」

「こらこら、まだ本当に鬼かどうか分からないのにそんなこと言わないの」

「だって、先輩たちはそう言ってます」


私には責任がありません。とばかりに彼女は肩をすくめた。