月が綺麗ですね

「ねぇ、風花も副社長いい男だと思うでしょ?」

テーブルに両手組んで私を見据えてくる。

ドキンと心臓が跳ねた。


「えっと、うん。そ、そうだね」

「イケメンだし、優しいし、仕事は常に完璧」


あれれ、どうしてそこまで知ってるの?
私は秘書室へ配属されるまで、彼のこと全然知らなかったのに。



「風花は私のライバルってことだよね?」


ラ、ライバル!?

まさか...そうなの?いがちゃんも徹さんのこと...。

きっと顔面からは血の気が引いているはず。


な、なんて答えよう。


「どど、どうして私がライバルなわけ?意味わかんないし」


フォークを持つ手がカタカタと勝手に震えてしまう。

やばいっ!!こんなんじゃ気づかれちゃう。