月が綺麗ですね

「心配ないです。仕事ですし、大変なのは飯塚さんも同じですから」

「しかし三峰...」徹さんは苦虫をかみつぶしたような顔をする。

「次回からは絶対に風花は同席させないから安心しろ」


思い出してイライラしたのか、カーブで彼は少し乱暴にハンドルを切った。


「私は平気です。徹さんが守ってくれたし」

「お前が良くても俺の気が済まないんだっ!」


声を荒らげてすぐに、「大人げないな」自嘲するように笑う。


「私を大切に思ってくれて、嬉しいです」


潤んだ瞳を彼に向けると、徹さんも照れたように「ああ」とだけ答えてくれた。


前に向き直ると、外の景色が私の家に近づいていることを教えてくれる。


彼は...徹さんは本当に私を大切に扱ってくれている。

どんな時でも。

少し過保護なくらい。


だからいつもじんわりと胸が熱くなってくる。