どれだけの時間私たちはこうしていたのだろう。時を刻む時計の針の音すら聞こえない静かな空間だった。
誰にも邪魔されず、彼が悲しみを弔うにはおそらく充分な時間がそこにはあった。
「ありがとう」
ふと、副社長は顔を上げると私から体を離した。
「大切な人を失っても、俺たちは生きて行かなくてはならない。いつまでもメソメソと泣いていては、大口さんも喜ばないな」
悲しみを吹っ切ったように彼は笑うと、眼鏡に手を伸ばしそれを掛ける。
そこにはいつもの副社長の顔があった。
「お前のスーツを汚してしまったな」
「いいえ、気になさらないでください」
「クリーニング代を出そう」
「いいえ、クリーニングに出すほどではありません」
私は笑顔で答えたのだった。
誰にも邪魔されず、彼が悲しみを弔うにはおそらく充分な時間がそこにはあった。
「ありがとう」
ふと、副社長は顔を上げると私から体を離した。
「大切な人を失っても、俺たちは生きて行かなくてはならない。いつまでもメソメソと泣いていては、大口さんも喜ばないな」
悲しみを吹っ切ったように彼は笑うと、眼鏡に手を伸ばしそれを掛ける。
そこにはいつもの副社長の顔があった。
「お前のスーツを汚してしまったな」
「いいえ、気になさらないでください」
「クリーニング代を出そう」
「いいえ、クリーニングに出すほどではありません」
私は笑顔で答えたのだった。


