月が綺麗ですね

受話器を置くと副社長は倒れ込むように、ドサッとソファーに座った。

だいぶお疲れのようだ。それに大切な人を失った衝撃もあるはずだ。


「あの、私がいるよりお独りのほうが疲れを癒せるのではありませんか?」


優れない表情を浮かべる副社長に声をかけた。


「一緒にいてくれ」

「でも...」

「お前にいて欲しいんだ」


一瞬私を正面から見据えると、すぐに視線をそらした。


「掛けるものをお持ちしましょうか?」


私は立ち上がるとベッドルームを探す。ブランケットを取りに行こうと思ったからだ。
しかし、副社長はそれを断った。


「ブランケットを掛けたら寝てしまいそうだ。今はお前と話しをしていたいんだ。いいから座ってくれ」

「...はい」


おずおずとソファーに改めて座り直す。