「...幸子!幸子!」
幸子ははっとして振り返ると、美羽がいた。
「ここなら安全だよ!こっち来て!」
美羽が手招きをする方向へ、幸子は無我夢中で走っていった。

そこは、隣の教材室だった。
少し埃っぽくて、幸子たちは何度かむせた。
ここには、幸子と美羽の他に、あと三人いた。
姫華と、なのと、桃音である。
「ねぇ...これから、どうしよう...」
「逃げるしかないんじゃない?」
「でも...ここ、3階よ?」
「逃げる前に捕まっちゃう!!」
「じゃあ...私たちが殺るしかない!
そう、殺されるくらいなら、私たちが殺すしかない!」
『...えっ!?』
突然とんでもないことを言い出したのは、美羽だった。
美羽は、凛々しい表情でみんなに言い放った。
「私が敵のライフル銃を奪って全員退治する。
ドアを開けるから、みんなは見えない場所にすぐ逃げて!」
美羽がドアノブに手をかけた。
「...じゃ...いくよ?」
バタッ...と思いっきり美羽はドアを開けた。
驚いてこちらを見ている何人かの兵隊の中へ、美羽は消えていった。
「美羽...っ!行っちゃダメ!行かないで...っ!」
その声も、その伸ばした手も、決心した美羽にはもう届くことは無かった。