太陽はまるで地面を睨んでいるかのようにジリジリとアスファルトを焼き付ける。
焼かれたアスファルトからは陽炎がゆらゆらとゆらめいている。
未だ朝七時というのにこんなにも暑い窓の外をボーッと見つめ、セーラー服を身にまとった女子高校生、幸子は気だるそうにもう既に冷めてしまったトーストを一口、また一口とかじっていた。

すると、何となく付けていたテレビから流れてきた音声が幸子の耳に止まった。

「もし今日、あなたの大切な人が死んでしまったら?あなたの家が壊れてしまったら?あなたの日常が、もう二度と帰ってこないものになったら?あなたは、どう生きていきますか?最後まで、生き延びる勇気が、あなたにはありますか?」

(...生き延びる勇気?)幸子はそう思った。
しかし、そこまてま気にすることもなく、幸子はやっとトーストを食べ終わると、鞄を持ち、重いドアを開けた。
「...ぃってきまーす。」
眠そうな声でそういった後、幸子は暑苦しいアスファルトに足を乗せた。