5人はひそひそと歩いていた。
明確な目的地のない、不確かな道を。
いつ殺されるかわからない、恐怖の中を。
音がしない。何も聞こえない。
ただ聞こえるのは、5人の足跡と息の音だけであった。
ただただ馬鹿みたいに暑い日差しが、5人の体力を蝕んでいった。

「...ねぇ...みんな...死んじゃったの...かな...」
なのが、声にならない声で呟いた。
「...そんなわけないよ!きっと、みんな生きてるよ!そんなこと、言わないで!」
桃音が、なのを元気づけるように言った。
しかし桃音も、実際にはそうとは思えなかった。
「生きてるよ...生きてる」
意味もなくそう呟いて、無理やり思考を止めていた。

足音と声以外、何も音がしない。
ただただ暑苦しい太陽が、嘲笑うように照りつけるだけだ。
しかも、無機質なアスファルトがそれを跳ね返し、キラキラと眩しい光を放っている。
静かで、暑くて、眩しくて、今にも気が狂ってしまいそうになる。
そんな夏の日差しのなかを、五人はひたすらに歩いていった。