聡介は意味が全然分からなかった。
麻子の涙の意味が全く分からない…


「神谷、彼のところに早く行かなきゃ遅くなるぞ」


単純な思考回路の持ち主の聡介は、麻子の今をとても心配した。
せっかくのバレンタインの夜に、彼氏とケンカでもされたらそれこそ麻子に申し訳ない。


「秋山くんこそ、彼女が待ってるんじゃない?
私の事はいいから、早く彼女の所へ行ってあげて」


バレンタインの夜は、恋人にとって大切な夜だという事をお互いちゃんと分かっている。


「俺はぶっちゃけ何も予定なし。
だからといって、悲しくなんかないぞ~~」


聡介はふざけながらそう叫び、麻子を笑わせた。


「私もぶっちゃけ何も予定なし」


「え? でも、あのケーキは?」


聡介は余計な事を聞いたと、そう言った後に気付いた。
麻子はそんな聡介を見て、聡介の大好きな笑みを浮かべている。


「あのケーキはあれでよかったんだ~~
でも、それ以上は聞かないでね」


麻子は本当にもうどうでも良かった。
神様からのサプライズの方が本当に嬉しかったから。