俺は速水さんが俺を憐れみ蔑むような瞳で見つめていることに気づいて俯き、コクリと頷いた。

「和音。必要以外は筆談か手話にしてくれ。聞き取りづらいし、言葉を待つ時間が惜しい。それにイメージが壊れる」

速水さんは俺の顔を睨みつけ、抑揚のない声で言い放った。

俺は渋々、「解った」という手話で答えた。

「知っていると思うが、拓斗も奏汰も和音の居ない間ずっとバンドのバック演奏をしている。彼らだけで売り出すことも検討したが、歌唱力がネックになった」

『それで?』

速水さんが上目遣いに、俺の手話を確認する。

「来月末まではバンドのツアーだが、その後もバックの依頼がきている。LIBERTEの復活時期は様子を見つつ調整する。それまでは1人で帰国取材に対応してくれ。くれぐれも、ヘタに喋らないようにな」