あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」

書いては消し、消しては書いてを繰り返す。

「和音、調子はどうだ?」

速水さんの催促と、拓斗と奏汰のダメ出しに気ばかり焦った。

カナリアを越える、はかなりハードルが高いことに改めて気づかされた。

「和音。せっかく留学して、さらに向こうで天才クラシックデュオとコラボしたんだから、歌の途中でクラシック演奏入れ込んだらどうだ?」

奏汰の案に拓斗が「それ、いいな」と頷いた。

「誰でもが知っている曲がいい」

拓斗は腕組みし、誰でも知っている曲を考え唸る。

「誰でも知っている曲……かなり絞られるけれど、その中から歌に合う曲となるとムズい」

拓斗と奏汰は暫く唸って、知っている曲を幾つか書き出した。

2人は書き出した曲を順番に弾きながら、首を捻る。

「なんか……しっくりしないな。俺たちらしくない」