音楽室に不協和音(dis code)が響き渡る。

「あ合わないのをむ無視してう歌ーてたってレレベルじゃなないよな。ぼぼ傍観して、お音をははハズさないかをき期待ででもしていたのか!」

花音が困惑した様子で、俺の手の甲に恐る恐る手を重ねてくる。

カーッとして声を荒げた俺の、聞き取りづらい吃音に、合唱部員たちが静まり返っているのを肌で感じた。

「お俺のし知ってるが合唱部はここーんなつー冷たいぶぶ部じゃない」

花音に「そうだよな」と目で訴える。

「言えなかった。彼女があまりにも上手くて……声楽専攻で声楽の先生たちからも、一目置かれていて……彼女自身の纏う気がヘタクソな人が何か文句あるの? とすごく威圧的で……言えなかった」

花音がポツリポツリと言葉を選んで語った。