あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」

放課後。

合唱部の練習を見学した。

花音の部長姿は前部長よりも凛々しかった。

「へーえ、やるじゃん」と感心する一方で、改善点も見える。

歌の途中でピアノ伴奏の尾崎愛美(おざきあみ)とこっそり入れ替わると、バラついていたソプラノ、メゾ、アルトそれぞれのパートの調和がグッと良くなった。

尾崎は花音の親友で、音楽科のピアノ専攻の学生だ。

昨夏と今夏に合唱部は尾崎のピアノ伴奏で、全国大会準優勝したほどの弾き手だ。

尾崎は俺の側で「何が違うの?」と、頼りなく呟いていた。

合唱コンクールの戦績で昨年より部員数も増え、纏めるのは大変だろうと思う。

歌い終えた部員たちは、尾崎と俺をポカンと交互に見つめた。

「かー花音。パパパートごとに歌ーっていい?」

俺が言うと、部員たちがざわついた。