俺はまともに喋れない悔しさを飲みこみ、拳をキュッと握って頷くしかなかった。

心地好かった花音の側とは大違いだ。

喋れないことが自分自身を否定され、胸に幾つも棘が刺さっている気がする。

「和音。ニューヨークでの活躍を観ていて思ったんだが、ソロ活動する気はないか?」

『俺はLIBERTEで、拓斗と奏汰と歌いたいから帰ってきたんだ』

俺のニューヨークでの努力や目標、励みなど全く頭にない風な速水さんの物言いだ。

「お前の実力ならソロでもじゅうぶんやっていける。LIBERTEのいままでのスタンスに拘らず、お前のスキルをフルに表に出すことができる」

『ソロでなど考えても……』

「『あのSoleilの姉弟に遜色ない実力がもったいない』上の意向だ。拓斗と奏汰の腕でも、向こうで本格的に学んだお前の実力には追いつかないと踏んでいるようだ。即答しろとは言わない。調整がつくまでの間、考えておけ」

つまり、LIBERTEの解散を決断しろーーということだ。