「北河さん、終わった?会議室によろしくね。」

にっこり笑って1つ年上の先輩、小林さんにそう言われた。

「あっ。ハイ。チョコ詰めですね。こちらこそ、よろしくお願いします。」

私、北河愛はペコリとお辞儀をしながらそう返した。

私の職場は営業部門で男性の数が圧倒的に多い。

営業担当者をサポートする事務が私と小林さんのお仕事だ。

女子社員は私と小林さんと後もう1人私たちより5歳ほど年上の山崎さんという人。

それと時短勤務のパートさんが2人いる。

その何倍もいる男性社員達に渡すバレンタインのチョコをラッピングする作業を社員の3人で今日の仕事が終わってからすることになっている。

人数格差が激しいから、お徳用のチョコを買って数個ずつ小分けしてラッピングする。

課長と部長には流石に小さいけれど箱入りを渡している。

主任と係長は少し多めでラッピングも豪華に。

作業自体は簡単だから居残りといっても30分ぐらいで終わりそうだ。

3人で世間話をしながら進めていく。

話題はもちろん、バレンタインデーについて。

「私、今年は手作りしてみようと思うの。」

小林さんが笑顔で頬を染めている。

「あれ?コバちゃんって今フリーでしょ?相手はだれよ~?」

山崎さんがニヤニヤして追及してる。

「ふふ。実はずっと片思いしてて。営業部の人なんです。」

「うそ~。コバちゃんがぁ?相手は誰でも落ちるでしょ。