勘違い。してた。

山崎さんまで巻き込んで。

…穴があったら入りたい気分って、こういうのなんだ。

「私…。」

「ん?」

「私、藤田さんと小林さんはお似合いだって思ってました。」

藤田さんは苦笑いだ。

「そうか。残念ながら、小林とはただの同期でお互いなんとも思ってないよ。」

「すみません。思い込んで、勝手に落ち込んで…。」

「落ち込む?どうして?」

鞄に入れていた、チョコレートを取り出すと、藤田さんに差し出した。

お願い。少しだけ、勇気をちょうだい。

チョコに祈って、藤田さんの目を見る。

「受け取って頂けませんか?…ずっと、ずっと好きでした。」

藤田さんは、ゆっくり手をチョコレートに伸ばしたかと思うと、私の手ごと、握りしめた。

「手、震えてる。」

「っ!」

ふんわり優しい笑顔でぎゅっと握る手に力を込めたのが伝わる。

「ありがとう。うれしい。それと、」

やっぱり今日は送らせて。

そう、耳元で囁かれた。

「!!って、それって。」

「俺も好き。」