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音楽の趣味が不思議なほど噛み合うハル先輩とは、もっと色んな話をしてみたいと思う。

だけど悪目立ちする事の恐怖も同時に抱いてしまい、その提案に快く応じられない自分もいる。

わたしには今、どんな選択肢が残されていて、何を選択すれば正しいのかが分からない。

ハル先輩は黙りこくるわたしに嫌な顔一つせず待ち続けてくれていた。

それはそんなハル先輩に対して、多分咄嗟に出たと言ったという方が正しい。


「あのっ——、」


何も答えを持ち合わせていなかったわたしの精一杯の思いのたけを、下手なりに懸命に口に出し紡ぎ始める。

何とも言えない後ろめたさからハル先輩の反応を知るのが怖くて、次第に視線は足元に落ちる。


「ん?」

「わ、わたし……その男の人と話したりするのに慣れてなくて、」

「うん」


こんな事を突然語り出すわたしをハル先輩は呆れてしまうだろうか。

だけどこれが今のわたしに出来る唯一の解決策だった。


「だから、……そのいきなり名前で呼び合ったりとかってのは……ちょっとわたしにはハードルが高くて、」