「今何時?」
 
 
バス停に着くと、さっそく梨恵がいつもの言葉を発した。
 
 
「えっと、今ね。四時三分」
 
「う~んと」
 
 
梨恵はそう言いながら、設置されたバスの時刻表を見る。
 
 
「次のバスは四時十分にあるよ」
 
 「もうすぐ来るね、バス」
 
 「うん」
 
 
 
 
しばらく経つと、いつも乗っている赤色のバスがこちらに向かってきた。
乗り込んだバスは、夕方ラッシュの時間だけあってとても混んでいた。
もちろん空いている席なんて一つもない。
立つしかなかった。