先輩と出会ってからは毎日毎日ごみ捨てを僕が担当した。

そして先輩と会って色々な話をした。

好きなものや趣味、苦手な先生の話までした。

僕は最初の頃いじめと言っても無視されたり机の中にゴミを入れられるくらいだった。

でも先輩と話してからは机に落書きがされていたり、靴がなくなっていたり、机の中のゴミに紛れて『千尋先輩と話すな。カス。』と書かれたメモ用紙まで出てきた。

僕はそれらのゴミをゴミ箱に入れ掃除の時間にゴミ捨てにいった。

先輩と話すな。なんて書かれてた紙があったもんだから今日は話さないで帰ろうと思っていた。

でもそんなことはできなかった。

僕は段差に躓きゴミ箱をひっくり返してしまった。

丁度そこに先輩が来て拾ってくれてたんだけど話すな。って内容の紙を見られてしまった。

千「…ねえ。これどういうこと?だれがこんなのかいたの?」

僕はその質問に答えれなかった。
先輩にはいじめられてることを知られたくなかったから。このことを知って離れられるのが嫌だったから。

でも先輩は全てを知っていた。

千「私ね全部知ってるよ。君がいじめられてること。だからここで話して少しでも心を和らげてあげようと思ってた。」

そうだったのか…?

千「最近はなんでも話せる仲になったと思ってた。でも違った?私には話せなかった?」

違う。そうじゃないんだ。

僕はかってに自分の気持ちに蓋をして先輩と接していただけなんだ。

本当は虐められたくない。
みんなと友達になりたい。
先輩ともっと仲良くなりたい。

いや、友達以上の関係になりたい。

僕は気づいた時には先輩のことが好きになっていた。

冬「違う…。僕は、僕は…!」

千「分かってるよ。キミの気持ち。虐めをやめて欲しいんだよね?みんなと友達になりたいんだよね?私わかるよ。だって君の理解者第一号だからね?」

先輩はそう言うとにっこりと笑って、そのいじめ無くしてあげる。と言ってきた。

僕は先輩が言ってることは無理だと思った。

いじめをなくす?出来るわけないだろ。

いくら人気者の先輩だとしても。

僕はいたたまれなくなってその場から逃げ出した。