「希咲ー!花畑の方行こうよ!」

「うん!行こ!」

幸人と2人で来た花畑は、花が咲き乱れ、すごく綺麗だった。


「希咲!これ見て!」

幸人にそう言われて、その花を見た時、私は一瞬固まってしまった。



目の前には『れもんの花』がたくさん咲いていた。



「希咲?大丈夫?」


「うん.......」



「この花、れもんの花なんだー。綺麗でしょ?」

幸人が言った。

「うん。すごく綺麗!」


「れもんの花言葉はー、『心から恋しく思う』っていうんだー。」
「意味、かわいいよなぁー。」


幸人がれもんの花言葉を言った瞬間に
私は涙が溢れてしまった。


「希咲!?おい。大丈夫か?」



そんな事いったら思い出しちゃうじゃん。

思い出したくないのに。

思い出したくない人なのに。





もしあの時、れもんが隠し味のガトーショコラを

倖羽じゃなくて、幸人に渡していたら.......

幸人は意味を理解して、

私の気持ちにきずいてくれたんじゃないか..............。