「はあ、はあ…

そ、そろそろ大丈夫かな。」



ダッシュで竜崎くんから逃げた私は、音楽室に隠れていた。



「にしても…

なんで私逃げたんだろう。」



ずっと竜崎くんと話したかったのに、いざ目が合うとつい逃げてしまった。



だって竜崎くんから私に近づいてきたのなんて、めちゃくちゃ久しぶりだったんだもん!



竜崎から私の目を見てくれるなんて、めちゃくちゃ久しぶりだったんだもん!



「惜しいことしたかな…」



せっかく話せそうだったのに。



「あーあー…

なんなんだよもー…

日比谷くんのせいだ。

そうだよ日比谷くんのせいなんだよ。

日比谷くんがあんなことやんなきゃこんなことになんなかったんだよ。

…日比谷くんのばかぁぁぁ!」




「俺を見た瞬間に逃げたと思ったら…

でっかい独り言だな。」



日比谷くんに完全なる八つ当たりをしていると、後から聞こえた心地の良い低い声。



「…っ!?

りゅ、竜崎くん、なんでここに…」



え、まって、まさか今の聞かれた?



竜崎くんの発言を思い返すと…



「でっかい独り言だな。」




うわっ、完璧聞かれてた!聞かれてたよ!



は、恥ずかしすぎて今なら全身毛むくじゃらになれそう…



そしたらあったかいね←



最近ちょっと寒くなってきたし。




「え、えーと、ごきげんよう竜崎くん…」



「ごきげんよう…


なんて言うと思ったかアホ。

…何やってんの、お前。」