「あっ、竜崎く…」
「……!!ダダダッ!」
「行っちゃった…」
私の彼氏、竜崎 涼介くん。
一ヶ月前、彼に告白をされ、ずっと彼のことが好きだった私は喜んでオーケー。
それからめでたく付き合い始めたわけなんだけど…
彼は冷たい。
あの日の告白は私の勘違い、もしくは記憶の捏造だったのではないかと不安になるほどだ。
竜崎くんは、かっこいい。
それはもう、女の子はもちろん、男の子も憧れるほどのもので。
野球部に所属していて、ポジションはキャッチャー。
打順は1番。
キャッチャーって、3番や4番をしている人が多いようなイメージがあったけれど、彼は足も速くて必ず出塁するから、1番なんだって。
普段、あまり大きな声も出さず、笑顔を見せることも少ないクールな彼だけど、部活の時はまるで別人で。
大きな声でチームのみんなに指示を出したり、チームメイトを励ましたり。
試合中なんかはもう、彼女の私も見たことの無いくらいの満面の笑みで、それはそれは楽しそうにプレーをする。
一年生の夏に見た試合中の彼の笑顔は、なんだかキラキラしていて。
私は一瞬で心を奪われた。