私に近づいてくる彼を見つめながら、不意に一瞬景色が変わった気がした。

でも、私は彼を知ってる。

私の中にある何かがそう言ってる。



「 名前~ えっとねぇ… あ、立花?」



理由? 私もわからない。

でも、私は彼に向かって走り出していた。


そして……



「 …祐希治! 」



彼を呼んだ。


驚く彼と、友達……

でも彼は微笑んだ。


私はそのまま彼に飛び込み抱きついて、抱きしめてくれる祐希治。



「 立花!?」

「 なぁアイツら知り合いだった?」

「 え~ まさか、あの堅物立花だよ 」

「 じゃあ なんで祐希治の名前知ってんだ?」

「 知らないよ、でも…… なんかいいね 」




私は祐希治の顔を見上げた。



「 私… あなたを知ってる、祐希治でしょ 」



私を助けてくれたよね。



「 そうだよ、立花 」

「 うん 」



あれは不思議な夢だった。

本当に夢……

高熱で苦しむ中で見た不思議な夢。