聞けば祐希治は受験最中に、事故でしばらく入院していたらしい。

意識が一時なくてさ迷い、夢の中にいたら声に呼ばれたと……

その夢に私がいて、一緒に見た雪が花弁になって舞うのを覚えていたと言う。

そして志望大学を変えて、今 私達がいる大学を受けたと。



「 祐希治… 本物?」

「 そうだよ、ほら触ってみて 」



温かい…… 祐希治の頬、温かいよ。



「 正夢ってあるんだね、私の中に祐希治が溢れてるよ 」

「 俺にはそれが一番の正夢だ 」



受験で辛かった。

自分で自分を追い込んでた。

でも、祐希治が夢で休息をくれた。



「 立花、もっと俺を君の中で溢れさせて 」

「 私も…… 」



乗り越えた先に恋があった。

夢は夢でしかないけど、その夢が叶う事もある。

祐希治は私に言った。



“ 大丈夫だよ ” って。



だから、今がある。



「 立花、初めてのキス… させて 」










_完_