私、水無月葵はどこにでもいる普通のOL。

ずっと平凡に生きてきて、日の目を見る事

もなくただ普通に毎日を過ごしています。

そんな私にも、たった一人気になっている

人がいます。


その人は────


「おはよう、倉持くん!」

「おはようございます」

「ねえ、倉持くん。今度一緒に食事行かな

い?」

「すみません。プライベートな付き合いは

ちょっと」


今日も相変わらずいろんな女性社員から囲

まれもてはやされている彼──倉持飛鳥(く

らもちあすか)。彼が私の気になっている

人。


「おはようございます、葵さん」

「あっ・・・お、おはよう」

彼は私が出社するなりパアッと笑顔を輝か

せて駆け寄って来る。私より2歳年下なのに

凄く色気があって、背が高くて・・・カッコ

良くて見惚れてしまう。気を抜いてしまえば

すぐにでも心を持っていかれそうな、そん

な男性。下の名前で呼ばれる度鼓動が高鳴

るのを抑えられなかった。