4月の初め、残業して帰ったら、ポストに手紙が届いていた。
DMとは違う、手書きの宛名だった。
見覚えのある、几帳面な文字。
裏を見ると、やっぱり伊勢くんからだった。
部屋に入り、上着も脱がずに封筒をあけた。
『紗和へ。
俺がいなくて、さみしくて泣いてないか?
手紙を書くことなんてないと思ってたけど、メールだと味気ないし、遠距離っぽいし、いいかと思って。
俺は、長い片想いが終わって幸せだった。
男としてかなわない課長から紗和を奪って、満足だった。
でもやっぱり、課長も紗和もお互い好きなのに気づいて、俺は引くべきだと思ったんだ。
決定的だったのは、紗和が寝言で課長の名前を呼んだことかな。
無意識で呼ぶんだから、よっぽど好きなんだと思った。
あれで、諦めついたってとこかな。
紗和が思ってる以上に、課長はマジメだぞ。
モテるから妬くかもしんないけど、課長は紗和しか見てないから。
紗和も、自分の気持ちを信じて、ぶつかってみろよ。
課長とつきあうなら、俺も許す。
じゃあ、元気でな。』
DMとは違う、手書きの宛名だった。
見覚えのある、几帳面な文字。
裏を見ると、やっぱり伊勢くんからだった。
部屋に入り、上着も脱がずに封筒をあけた。
『紗和へ。
俺がいなくて、さみしくて泣いてないか?
手紙を書くことなんてないと思ってたけど、メールだと味気ないし、遠距離っぽいし、いいかと思って。
俺は、長い片想いが終わって幸せだった。
男としてかなわない課長から紗和を奪って、満足だった。
でもやっぱり、課長も紗和もお互い好きなのに気づいて、俺は引くべきだと思ったんだ。
決定的だったのは、紗和が寝言で課長の名前を呼んだことかな。
無意識で呼ぶんだから、よっぽど好きなんだと思った。
あれで、諦めついたってとこかな。
紗和が思ってる以上に、課長はマジメだぞ。
モテるから妬くかもしんないけど、課長は紗和しか見てないから。
紗和も、自分の気持ちを信じて、ぶつかってみろよ。
課長とつきあうなら、俺も許す。
じゃあ、元気でな。』


